『光が死んだ夏』のじわじわと広がる不穏な空気感や、田舎の日常に潜む狂気がクセになる方へ。
この記事では、「静かだけれど怖い」「人間関係の境界が崩れる」ようなダークなテーマを持つ漫画を厳選しました。
作品毎に共通点や違いを整理して、『光が死んだ夏』ファンにおすすめの5作品を紹介します。
- 『光が死んだ夏』と似た空気感の漫画5作品を厳選紹介
- “静かな狂気”や“日常に潜む異常性”をテーマとした作品解説
- それぞれの作品に共通する不穏な魅力と読みどころを解説
『光が死んだ夏』と共通する“静かな狂気”が魅力の漫画
『光が死んだ夏』の魅力は、派手な演出に頼らず、日常の中にじわじわと忍び寄る違和感にあります。
物語の中心にあるのは、親しい人の“変質”と“喪失”という、誰もが一度は感じたことのある感情です。
このような静謐で不穏な空気感は、他のダーク作品にも共通しており、同様の体験ができる漫画が存在します。
『光が死んだ夏』の核心は、“あの人はもういないのに、まだそこにいる”という感覚です。
この独特なテーマは、ホラーでありながら哲学的でもあり、読者にとっては恐怖と哀しみが同居する特異な読書体験をもたらします。
実際、作品内で描かれる「光」の変貌に対して主人公・よしきが感じる微かな違和感──それが、物語の全てを覆っていく構造には優れた静的ホラーの手法が活かされています。
こうした“静かな狂気”は、『寄生獣』のような「身近な誰かが乗っ取られる恐怖」や、『Another』のように「日常が崩れていく気配」とも共通しています。
また、『夏目友人帳』に漂う“人外”と人間の曖昧な関係からも影響を感じさせ、ただのホラーにとどまらない深みが読み取れるのです。
本記事では、この“静けさの中にある狂気”という共通テーマを軸に、『光が死んだ夏』に通じるダークな漫画5作品を紹介していきます。
『青野くんに触りたいから死にたい』
恋人を亡くした少女と幽霊になった彼氏──この設定から始まる物語は、切なくも恐ろしく、共依存的な関係へと転落していきます。
『光が死んだ夏』同様、最も身近な存在が“もうあの人ではない”という恐怖が物語の核にあります。
読者は、二人の関係に潜む“甘美な狂気”と静かな絶望に引き込まれていくでしょう。
青野くんの死後、幽霊として残った彼は、少女・優里との関係を継続しようとします。
しかしその過程で、彼の“何か”が変質していく──優しさが執着に、愛が呪縛に変わる瞬間が描かれ、読者の心に静かに爪を立ててきます。
「もうこの人を好きでいていいのか」という問いは、『光が死んだ夏』におけるよしきの葛藤にも通じるものです。
また、日常生活に霊的な不穏さが溶け込む描写も、両作品の共通点です。
見た目や言葉は以前と同じでも、“魂が変わってしまった”恋人に対する葛藤は、現実の関係に潜む危うさのメタファーでもあります。
ラブコメ的な要素もありながら、次第に侵食されていく心の描写は、まさに“静かな狂気”の極致です。
『兄だったモノ』
家族という最も親密な関係の中に潜む恐怖──『兄だったモノ』は、そのタブーに真っ向から切り込む作品です。
“兄が帰ってきたはずなのに、なぜか違和感が消えない”という設定は、『光が死んだ夏』に通じる根幹の恐怖と非常によく似ています。
兄弟という絆を通して、「他者が“何か”に入れ替わる」感覚が生々しく描かれています。
物語は、事故で死んだはずの兄が、ある日突然戻ってくるところから始まります。
一見普通に接してくるその姿に、家族は戸惑いながらも再び受け入れようとするのですが、彼の言動には微妙なズレや異質さが滲み出てきます。
「これは本当に兄なのか?」という疑念が読者の中にも芽生え、次第に深い不安へと変化していきます。
本作が優れているのは、単なるホラーやスリラーにとどまらず、“家族とは何か”“血のつながりとは何を保証するのか”という根本的なテーマに挑んでいる点です。
日常の中に潜む異物と、それを認めたくない家族心理のリアルさが、読者を精神的に追い詰めます。
『光が死んだ夏』と同様、“最も近い存在が、最も怖い存在へと変わる”恐怖を味わいたい人にはうってつけの1作です。
『屍鬼(しき)』
『屍鬼』は、閉ざされた村を舞台に、静かに人々が死んでいく異常な日常を描いたホラー作品です。
小野不由美の小説を原作に、藤崎竜の独特な絵柄でビジュアル化された本作は、視覚的にも精神的にも強いインパクトを放ちます。
“気づいたときには、もう引き返せない”という恐怖は『光が死んだ夏』にも通じる要素です。
物語の舞台は人口1300人ほどの外場村。
ある日を境に、住民たちが次々と謎の死を遂げていきます。
その背後には、“死者が甦る”という信じがたい現象があり、日常が少しずつ崩壊していく様子が緻密に描かれます。
『光が死んだ夏』における「光ではない何か」と同様に、『屍鬼』でも“誰かが変わってしまった”不気味さが主軸となります。
さらに、「信じたいけれど信じきれない」「気づいていても行動できない」など、人間心理の弱さと愚かしさを丁寧に描写。
それにより、恐怖の源が“人間そのもの”にあることを突きつけられるのです。
本作はホラーでありながらも、人間ドラマとしての完成度も高く、生と死、共存と排除という深いテーマを内包しています。
読了後に残るのは恐怖だけでなく、「人とは何か」「共に生きるとは何か」への問いです。
『光が死んだ夏』のような静かな侵食型のホラーを求める読者にとって、『屍鬼』は間違いなく刺さる作品となるでしょう。
『さんかく窓の外側は夜』
霊視能力を持つ青年と除霊師がタッグを組むという設定ながら、心の奥にある“人間の闇”を抉る描写で読者を惹きつける作品です。
BL的な雰囲気を漂わせながらも、霊や呪いを通じて描かれるのは人間の業そのもの。
『光が死んだ夏』同様に、信頼関係が次第に崩れていく描写が胸に迫ります。
主人公・三角は、人に触れると霊が見えてしまう体質に苦しんでいます。
そんな彼をスカウトした除霊師・冷川は、彼の力を利用しながら共に事件を解決していきますが、その関係は少しずつ歪みを見せていきます。
依存とも支配とも取れる関係性は、『青野くんに触りたいから死にたい』にも似た、危うさに満ちています。
また、霊的事件の背景にはいつも、人間の欲望や後悔、憎しみといった強烈な感情が潜んでおり、それがリアルな恐怖を生んでいます。
ホラーというよりも、“心を抉る心理スリラー”と呼んだほうがしっくりくる本作は、静かな演出と少しずつ深まる狂気が持ち味です。
『光が死んだ夏』のように、“何が怖いのか分からないけど逃げられない”という感覚が好きな方には、必ず刺さる一作となるでしょう。
『ひぐらしのなく頃に』
昭和58年、雛見沢村という小さな集落で起こる連続怪死事件を描いた『ひぐらしのなく頃に』は、“日常が静かに崩れていく狂気”の代表格とも言える作品です。
序盤は微笑ましい日常が描かれるものの、やがて雰囲気は一変し、恐怖と疑念の渦に呑み込まれていきます。
『光が死んだ夏』と同様に、“信じていた相手が変わってしまう”という心理的ホラーが読者を襲います。
この作品の特徴は、「繰り返される世界」「視点の変化」「記憶の断絶」といった独自の構成にあります。
物語のループごとに異なる展開が訪れ、同じ出来事でも“真実”がまるで違うという構造が、謎と狂気を深めていきます。
『光が死んだ夏』の“入れ替わり”と並び、“現実が歪む”という共通した不気味さが読者の精神を揺さぶります。
また、閉鎖的な村社会の描写も見逃せません。
表面上は和やかな雰囲気を保っていながら、内部では疑心暗鬼と無言の圧力が支配している。
このような空気感は、『光が死んだ夏』の“田舎の静けさの中の異物感”とまさに共鳴します。
一見青春ストーリーに見えて、実は重厚なサスペンスでありサイコホラーでもある『ひぐらし』。
“人間が壊れていく過程”を丁寧に描いている点で、本質的に『光が死んだ夏』と非常に近い作品だといえるでしょう。
まとめ:光が死んだ夏の不穏さを味わいたい人におすすめの5作品まとめ
『光が死んだ夏』が放つ、日常の中に潜む違和感と静かな恐怖。
この作品に魅了された方は、きっと「静けさの中で狂気がじわじわと広がる」ような物語を求めていることでしょう。
本記事で紹介した5作品はいずれも、その空気感を共有しながら、異なる角度から読者を不穏の世界へと引き込んでくれます。
- 『青野くんに触りたいから死にたい』:共依存の愛が幽霊との恋愛に変わる瞬間の恐怖。
- 『兄だったモノ』:家族の絆の中で生まれる「これは本当に兄なのか?」という静かな絶望。
- 『屍鬼』:閉ざされた村に蔓延る死の連鎖と、それを受け入れざるを得ない人々の葛藤。
- 『さんかく窓の外側は夜』:除霊を通して浮き彫りになる心の奥の闇と依存関係。
- 『ひぐらしのなく頃に』:繰り返す惨劇と壊れていく村社会の人間模様。
いずれも『光が死んだ夏』と同様に、「信じていた相手が変わってしまう」「逃れられない異常が、当たり前の日常の中に存在する」という強烈な不安を描いています。
派手な演出ではなく、静けさとじわじわと迫る狂気に惹かれる方にとって、どの作品も深く刺さることでしょう。
この5作品を通して、『光が死んだ夏』の余韻をさらに深める旅へ出かけてみてください。
- 『光が死んだ夏』に似た空気感のある漫画を紹介
- 共通点は「静かな狂気」「日常の中の異物」
- 『青野くん〜』では共依存の恐怖を描写
- 『兄だったモノ』は家族関係の崩壊がテーマ
- 『屍鬼』は村に蔓延る死と崩壊の連鎖を描く
- 『さんかく窓〜』は心の闇と除霊を通した狂気
- 『ひぐらし』は日常の崩壊と疑心暗鬼の連鎖
- 静けさの中に潜む不穏さを味わいたい人向け
コメント